医学と芸術展 Medicine and Art

by eriyori on Sunday 6 December 2009

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美術館の方にお会いする機会があり、森美術館で行われている「医学と芸術展」を見に行った。各々の展示というよりは、展示作品のセレクション、キュレーションに満足した展覧会であった。科学の粋である医学と、全く対極をなすような存在である美術。その両者を隔てることなく、織りまぜながら展示されている。すると、医療機器が芸術作品に見えてくるというのは、もちろんあるのだが、不思議なことに芸術作品が「死に抗う薬」にも見えてきた。

また衝撃的な作品であったのが、人がスライスされた作品(?)であった。眼前にあるものは確かに死体だ。しかし、それを作品として見ている自分は、その死体をモノとしか見ていない。けれど、その作品から長く伸びた影。それだけはどうしても踏めなかった。影だけは人のカタチ。たぶん生きている人の影とそう変わらないだろう。早稲田大学の機械学科三輪教授は、離れた二つの部屋で、影を共有することで、あたかもそこに人がいる空間を実現した。実感にかけるネットのやり取りに、ネットワークを介してどのようにしたら、より感覚的な動きを取り入れてコミュニケーションを取れるかという実験である。実体がなくても影だけで人の存在を感じさせる、人と影は切り離せるのかもしれない。

とにかく、影が踏めなかったです。ここの作品の芸術鑑賞というよりは、この展覧会すべてが心に訴えかける芸術作品の様であったように思いました。

おすすめですよ

http://www.mori.art.museum/contents/medicine/