THE OUTLINE

by eriyori on Sunday 6 December 2009

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深澤直人の作品とそれを撮る写真家藤井保の作品展。

この二人の作品が対比されていることで、深く深澤のプロダクトを理解できたかもしれない。深澤の作品は、ある意味で、絵画に似ている気がすると感じた。昔、デッサンをかじった時に、線で絵を描くなと言われたのが深く印象に残っている。モノはすべて、陰影があるから見えるのだと言われた。影がなければ、ものはつかむことが出来ないのだという。確かに、そうだ。絵画は影で書く、線がない。それは、藤井自信の撮影における注意からも読み取れる。深澤の作品を撮る藤井は、作品の背景にその作品と同じスクリーンを立てる。白い作品には、白いスクリーン。黒い作品には黒いスクリーン。写真のことは良く知らぬが、普通であれな作品を引き立たせるもっと別のスクリーンを持ってきてもいいように思う。例えば、シンプルなものであれば、逆にいろいろな物が置かれた風景におくことも考えられるはずだ。しかし、藤井は作品をスクリーンに溶け込ませてしまっている。彼が、最新の注意を払っているのはその陰影だ。展覧会のポスターを見ても陰影に注意を払っていることがよくわかる。深澤の作品に照明が多いのは、それ自体が光を発することが、唯一の自己主張の方法だからではないだろうかと思う。

(私が森美術館で出会った、人のスライスは、その影の方がむしろ人であった。影には、2次元一色という不自由な性格ゆえに、人に想起させる力を強く持つのかもしれない。これはまた別の話。もっと深く考えようかな。)

しかし、近作では、彼はマテリアルに手を出し始めた。この挑戦は、デザイナーとしてのチャレンジとして咎めることは出来ないが、「深澤」としての挑戦としては、一筋縄ではいかないように思う。現に、2007年の作品には、深澤らしさが全くといっていいほど見えてこない。

ここに書いたことはすべて僕の戯言。ひとりのファンとしての意見であるから適当であることを最後にことわる。

http://www.2121designsight.jp/outline/index.html

医学と芸術展 Medicine and Art

by eriyori

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美術館の方にお会いする機会があり、森美術館で行われている「医学と芸術展」を見に行った。各々の展示というよりは、展示作品のセレクション、キュレーションに満足した展覧会であった。科学の粋である医学と、全く対極をなすような存在である美術。その両者を隔てることなく、織りまぜながら展示されている。すると、医療機器が芸術作品に見えてくるというのは、もちろんあるのだが、不思議なことに芸術作品が「死に抗う薬」にも見えてきた。

また衝撃的な作品であったのが、人がスライスされた作品(?)であった。眼前にあるものは確かに死体だ。しかし、それを作品として見ている自分は、その死体をモノとしか見ていない。けれど、その作品から長く伸びた影。それだけはどうしても踏めなかった。影だけは人のカタチ。たぶん生きている人の影とそう変わらないだろう。早稲田大学の機械学科三輪教授は、離れた二つの部屋で、影を共有することで、あたかもそこに人がいる空間を実現した。実感にかけるネットのやり取りに、ネットワークを介してどのようにしたら、より感覚的な動きを取り入れてコミュニケーションを取れるかという実験である。実体がなくても影だけで人の存在を感じさせる、人と影は切り離せるのかもしれない。

とにかく、影が踏めなかったです。ここの作品の芸術鑑賞というよりは、この展覧会すべてが心に訴えかける芸術作品の様であったように思いました。

おすすめですよ

http://www.mori.art.museum/contents/medicine/