「10番目の感傷(点・線・面)」クワクボリョウタ

by eriyori on Friday 31 December 2010

The Tenth Sentiment
OPEN SPACE 2010 展示作品
(NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]、2010/05/15 ~ 2011/2/27)

この作品を、ICCで見た。暗幕をくぐるとそこは、真っ暗。段々と目が慣れてくると、目の前に現れるのは影。何気なくそれを見ていると、それが動いている。しかも、どこかで見たような影の形。鉛筆だ!
普段、何気なく使っているモノたちが、暗闇の中で照らされながら部屋の壁にその影を投影させる。動く電灯以外に明かりは無いものだから、中に入っている観客は、その闇に呑まれたりもしてしまう。鉛筆の影に呑まれる感覚は大変不思議なものだ。ミクロアドヴェンチャーの様な感覚もある。
大好きな作品になった。この作品は、勝手に出来上がる影を見るだけに過ぎないのだが、何故か見るものに体験を促す。動く光源、また無垢の壁が創りだすのは前述のように、影だけ。連続された影の動きだけを見ているとそれは、あたかも風景として見えてくるようになる。これが不思議な感覚なのだ。
あれは、乗り物酔いする。

クワクボリョウタ

デバイスアーティスト。明和電機との交流も深く、BITMAN の開発にも関わっている。1971年生まれ。筑波大学大学院修士課程デザイン研究科総合造形修了、国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)アートアンドラボ科卒業。
http://www.vector-scan.com/